お知らせ
これから行われる法要と雅楽舞楽公演の予定
※12月31日 春日山雅楽御堂除夜
・21:30 勤行→感話→舞楽:蘭陵王
活動報告
2024年11月10日 於:帰命圓堂ホール
宗祖聖人報恩講
奉納舞楽:右方抜頭
舞人:篠原和稱
九州国立博物館データベース
「西都太宰府」
西都太宰府の映像アーカイブスに、「正行寺の報恩講と雅楽」として筑紫楽所の映像が収録されています。
沿革・楽長挨拶
沿革
雅楽とは、喜怒哀楽を超えた仏様への感謝の響きであり、遠くシルクロードを渡り、中国、朝鮮半島を経て、仏教と同時に日本に伝わり今に至っています。
「筑紫楽所」の雅楽は、報恩講、永代経、彼岸会、お盆など、浄土真宗正行寺(福岡県筑紫野市)の法要で演奏されるのが主です。
正行寺での雅楽への取り組みは、第13世竹原嶺音師が、第二次世界大戦末期、伝統ある雅楽が、戦火の中で消滅するにしのびず、雅楽器一揃を購入し、正行寺に保存したことに始まります。
終戦後、その雅楽器を用いて正行寺「雅楽部」が発足、門信徒の中から次々と楽人が育ち、法要奉納楽を命として研鑽を積んでいきました。 1989(平成元)年、竹原嶺音師の遺弟・野中恵契尼の願心から、雅・舞楽習得を目的とする正行寺春日山雅楽御堂が建立され、ここを拠点に、宗派、宗教を超えた「筑紫楽所」へと発展しました。 現在では、宮内庁楽部の楽師方の指導を受けて、広く門戸を開き、時には各界からの招聘にも応じつつ、神仏への雅舞楽奉納を中心に活動しています。 メンバーは、正行寺の門信徒を中心に、延べ百人以上を数えます。
楽長挨拶
雅楽は、皇室の国際的儀式や神社祭祀・結婚式などで演奏される時に用いられる音楽だとご承知の方も多いかと思います。
私たちが聞き慣れている音楽の大半は、感情を表現するものであります。しかし雅楽は、大陸から渡ってきた音楽と日本古来の音楽が融合し継承されてきた、 「喜怒哀楽を超えた和の音楽」だと言われています。それは、雅楽を初めて聴いた外国人の多くが、「何か懐かしい響きと感動を覚えました」と、感想を述べられる事でもわかります。まさに、雅楽は人の心の奥底に響き、心の安らぎをもたらす音楽なのです。
昭和32年に発足した正行寺楽部を基礎とする我々「筑紫楽所」は、雅楽の普及に貢献すべく、昭和62年より広く一般に門戸を開きました。そして根本精神を 「三宝供養の楽」において、縁ある寺院や神社の奉納楽、公共機関の要請による公演や、音楽教育にも意欲的にお応えしています。
どうぞ、「人の心に響く雅楽」に興味のある方のご入会を、心からお待ちしております。
「筑紫楽所」楽長 大賀 信一郎
活動の広まり・年表
活動の広まり
1938(S13) | 7月 | 名古屋魚山寺羽塚堅子師、正行寺声明講習会に来山、本堂で雅楽奉納 |
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1944(S19) | 12月 | 正行寺住職竹原嶺音師は、平和への悲願から戦火の最中に雅楽器一式を購入 |
1957(S32) | 11月 | 大行院嶺音師七回忌、正行寺新本堂落慶法要に舞楽6曲を奉納。「筑紫楽所」の前身、正行寺楽部発足 |
1961(S36) | 4月 | 親鸞聖人七百回御忌に東本願寺大師堂前で舞楽2曲を奉納 |
1975(S50) | 4月 | 舞楽奉納の充実に伴い右方の大太鼓・大鉦鼓を購入 |
1985(S60) | 8月 | 雅楽蔵完成。宮内庁式部職楽部四楽師による三管と舞の指導開始 |
1987(S62) | 10月 | 正行寺楽部の再編成後、「筑紫楽所」として発足。九電ホールで西日本文化協会主催第1回公演 |
1989(H 1) | 4月 | 佐賀市制百周年記念公演。左方大太鼓・大鉦鼓購入。常設舞楽台設置 |
5月 | 春日山雅楽御堂落慶舞楽法要。宮内庁より9名の楽師参加。筑紫楽所楽寮落成 | |
1991(H 3) | 3月 | 太宰府都府楼跡で古都を守る会主催「梅花の宴」雅楽公演 |
10月 | 福岡サンパレスで国立劇場木戸敏郎氏演出「舞楽曼荼羅」に、真言声明と共演 | |
1993(H 5) | 1月 | 北九州市厚生年金ホールで、クロスロード福岡大舞楽祭に出演 |
9月 | ロンドン大学で日英交流記念碑除幕式奏楽。UCL・ブルーズベリーシアター雅楽公演 | |
1994(H 6) | 11月 | 福岡サンパレスで北京中央音楽学院との日中古典音楽合同公演 |
1995(H 7) | 11月 | アクロス福岡シンフォニーホール及び別府杉乃井で、釜山大学との日韓合同公演 |
1997(H 9) | 5月 | アジア開発銀行福岡総会記念・日中韓古典音楽合同公演 |
1998(H10) | 4月 | アクロス福岡でソウル木蓮会合唱団を招き日韓親善音楽交流の夕べ |
2001(H13) | 9月 | ロンドン・ガナーズベリーパーク日本庭園起工式奏楽。ロンドン三輪精舎演奏会 |
12月 | 「シルクロード・奈良国際シンポジウム2001in福岡」にて公演 | |
2002(H14) | 10月 | 太宰府天満宮千百年大祭「神佛御縁祭」にて、管絃・舞楽を奉納 |
2003(H15) | 4月 | 音響設計家・永田穂氏監修により、雅楽御堂の音響効果改良工事実施 |
11月 | アクロス福岡主催により、シンフォニーホールに於いて雅楽公演 | |
2004(H16) | 10月 | 国民文化祭(春日市)公演 |
11月 | 第12回福岡県文化賞(交流部門)を受賞 | |
2005(H17) | 5月 | 大宰府天満宮・九州国立博物館開通式奏楽 |
2007(H19) | 5月 | 北京中央音楽学院主催「北京現代音楽節」公演 |
8月 | アクロス福岡シンフォニーホールに於いて「北京公演記念演奏会」公演。 | |
2008(H20) | 5月 | 韓国 通度寺 釈尊降誕会雅楽奉納 |
11月 | 大濠公園能楽堂雅楽公演 | |
2009(H21) | 4月 | 阿蘇惟豊公廟所・男成神社奏楽奉納 |
5月 | 秋月黒田鎧揃え祭奏楽 | |
10月 | 萩 松陰神社 松陰先生殉節150年記念大祭に雅楽奉納 | |
12月 | 大濠公園能楽堂雅楽公演 | |
2010(H22) | 4月 | 筑前町女性センター開講式奏楽 |
韓国安東 李退渓先生宗家 第15代当主・李東恩師百ヵ日法要奏楽奉納 | ||
10月 | 韓国 表忠寺・四溟大師涅槃400年法要 奏楽奉納 | |
2011(H23) | 2月 | 金剛宝塔仏舎利奉安法要舞楽奉納 |
4月 | 基山 瀧光徳寺立教開宗壹百年記念法要奏楽奉納 | |
5月 | 親鸞聖人七百五十回御遠忌雅楽奉納(本山) | |
11月 | 親鸞聖人七百五十回御遠忌雅楽奉納(本山) | |
親鸞聖人七百五十回御遠忌記念 東京芸術大学・奏楽堂 雅楽講演 | ||
2012(H24) | 5月 | 九州国立博物館 平山郁夫展 雅楽公演 |
11月 | 親鸞聖人七百五十回御遠忌雅楽奉納(正行寺) |
管絃・楽器
鳳笙(ほうしょう)
漆塗りの「匏(ほう)」というお椀型の器に十七本の竹管がさし込んであります。合竹(あいたけ)と呼ばれる和音を奏し、曲の流れ構築するリズム楽器です。吹き口より吹いたり吸ったりすることで簧(リード)が振動し音が出ます。笙はその形が、羽を休めている鳳凰に似ていることから、鳳笙(ほうしょう)とも呼ばれます。その音色は「天から差し込む光」を表し、雅楽の独特な雰囲気を醸し出しています。
篳篥(ひちりき)
樺巻の竹製の縦笛で、表側に七つ、裏側に二つの孔(あな)があり、蘆(あし)で作られた舌(リード)を差し込んで吹く、ダブルリードの縦笛です。音域が1オクターブくらいしかありませんが、雅楽では主旋律を受け持ちます。舌が大きいため、同じ指使いでも舌のくわえ方によってポルタメント的に演奏することができ、この演奏方法を塩梅(えんばい)と言います。楽器の大きさとは反対に音量はとても豊かで、力強いその音色は人の声のようだともとも云われます。
龍笛(りゅうてき)/高麗笛(こまぶえ)
ニ種類とも、竹製で両端に樺巻きがされた横笛です。息を吹き入れる歌口の他に、龍笛は七孔、高麗笛は六孔の指孔があります。主旋律を受け持つ篳篥に比べはるかに広い音域を持ち、旋律に彩りを添えるような装飾的な旋律を奏でるのが特徴です。「龍の笛」という名のとおり、龍笛のその音色は、天と地の間を駆け抜ける龍の鳴き声を表していると云われます。また、高麗笛は高麗楽(こまがく)や国風歌舞(くにぶりのうたまい)の「東遊」(あずまあそび)の演奏の際に使用します。
鞨鼓(かっこ)
雅楽の演奏には指揮者がいませんが、鞨鼓は演奏の速度を決めたり、終わりの合図をする指揮者のような存在の打楽器です。演奏では二本の桴(ばち)を両手に持ち、ポンと一回だけ打つ正(せい)、片手で連続的に打つ片来(かたらい)、両手で連続的に打つ諸来(もろらい)の三つの奏法があります。
三ノ鼓(さんのつづみ)
三ノ鼓は右方の舞楽の際に用いられる打楽器で、役目は鞨鼓と同じです。右手に棒状の桴(ばち)を持ち、左手は楽器の調緒(しらべお:鼓面を結んでいる紐)を持って演奏します。一回、或いは二回打つ奏法で演奏します。
楽太鼓(がくだいこ)
金属の飾りがつき、鼓面には三匹の唐獅子の模様が描かれています。木製の芯に皮を巻いた先の丸い桴(ばち)を両手に持ち、拍子の間に左手で軽く打つことを図(ズン)、拍子の頭に右手で強く打つことを百(ドウ)と言います。管絃では舞台の最前列中央に配置され、大事なリズムパターンを担う打楽器です。
鉦鼓(しょうこ)
鼓の字が使われていますが、金属製楽器で、青銅製の摺鉦(すりがね)を丸い木枠に吊るしています。棒の先端に丸い水牛の角がついた桴(ばち)を両手に持ち、摺鉦の凹面を打って鳴らします。左右どちらか片方だけで一回打つ奏法と、左右両方を続けて打つ奏法の二つがあります。演奏では小さなパターンを刻み、高く澄んだ音色が特徴です。
楽琵琶(がくびわ)
四絃・四柱(じゅ:フレット)の絃楽器です。西洋音楽の弦楽器と違い、雅楽における絃楽器は、旋律を奏でるのではなくリズム楽器として扱われます。安座した膝の上に楽器を真横に構え、撥をつかって演奏します。弾奏の最終音を、拍子の一拍目の頭とあわせて撥で強く弾き、リズムを明確にする役割があります。
楽箏(がくそう)
桐を材質の主体とした、十三絃の絃楽器です。絹絃を使いますが、他の箏よりも太めに作られています。指にはめる爪は、竹の節を小さく削り出したものを使います。楽琵琶と同じくリズム楽器です。楽琵琶が各小節の頭を明確にしたのと違い、一定の演奏を繰り返して行うことで、拍節の維持を担っています。
舞 楽
舞楽
(ぶがく)右方:還城楽
舞楽は本来、神仏へ奉納されるためのものであり、欄干の朱や樹々の緑や青の鮮やかな野外で演奏されてきました。
舞には活発な動きの「走り舞」と静かな「平舞」があります。独特のゆったりした優雅な舞、微妙な象徴化された動きは、非日常の雅(みやび)の世界、美の極致といえます。
最初に振鉾(えんぶ)といわれる舞で舞台を清め、左舞、右舞の順に演じられます。
素晴らしい常装束(つねしょうぞく)や蛮絵装束(ばんえしょうぞく)【昔の朝廷衛府の装束】を身にまとい、味わい深い色々な面を着用する舞もあります。
視覚と聴覚そして心を満喫させてくれるのが舞楽です。
左方舞
(さほうまい) 中国や東南アジアなどから渡ってきたものを基本とし、原則として赤色系統の装束を用います。舞人は、向かって左の方から進み出て舞台に登ります。伴奏は、三管三鼓の楽器編成で演奏し、篳篥と龍笛の旋律に合わせて舞います。
右方舞
(うほうまい)
朝鮮半島から渡ってきたものを基本とし、原則として緑色系統の装束を用います。舞人は、向かって右の方から進み出て舞台に登ります。
伴奏は、左舞と異なり、笙を通常は用いず、龍笛に代わって高麗笛(こまぶえ)を、鞨鼓に代わって三ノ鼓を用います。三ノ鼓と太鼓のリズムに合わせて舞います。
右方: 抜頭